空前のフィットネスブームで、新しいジムの広告が絶えない昨今。InstagramやYouTubeでも溢れる程のトレーニング情報が投稿され、わざわざジムに行かなくても、自分で調べたり動画を見ながらトレーニングを行えるようになりました。
一概にトレーニングと言っても種類は様々、よって効果も様々です。有酸素系のランニングやバイク、高負荷で行うウエイトトレーニングやHIIT、アスリートから広まった体幹トレーニングやファンクショナルトレーニングなど・・・それぞれの効果を調べるだけで疲れちゃいそうですよね!
トレーニングは、目標を持って方法や効果についてよく理解した上で行うことがとても重要なのですが、そこが皆さん疎かになりがち。「とりあえず動画で目に付いたトレーニングをやってみる」では、自分の理想から離れた体になってしまうかも!?
「だけど調べるのめんどくさーい!」「何から始めたらいいのかもうわけわからーん!」そんな大人女子のあなたに!!!!!是非オススメしたいのが、そう!
尻攻めよ。
解剖学的な尻
尻の筋肉は、主に大殿筋、中殿筋、小殿筋の3つから構成されています。これらの筋肉に負荷をかけることで、尻が鍛えられるのです。まずはそれぞれの筋肉について、解剖学的知識を深めておきましょう。
大殿筋
単一筋としては人体の中で最大。殿部全体表層に位置し、骨盤から大腿骨にかけて付着しています。主に太ももを後ろに振る股関節伸展の主力筋として働き、歩行や立ち上がる動作などのあらゆる動きに使われます。特に片脚立ちになった時の貢献度は高いです。
大殿筋の働き
1.股関節の伸展(全体)
2.股関節の外旋(全体)
3.股関節の外転(上側)
4.股関節の内転(下側)
中殿筋
大殿筋の上部に位置し、一部は大殿筋に覆われています。直立時に骨盤を支え、歩行中などに片足が浮いた状態のとき骨盤が落ちないよう維持します。主に太ももを外側に振る股関節外転の主力筋として働き、フィールド競技で方向転換をする際の振り脚で使われます。
中殿筋の働き
1.股関節の外転(全体)
2.股関節の内旋(前部)
3.股関節の屈曲(前部)
4.股関節の外旋(後部)
5.股関節の伸展(後部)
小殿筋
お尻の上部側面にあり、中殿筋の深層に位置する筋。中殿筋よりはかなり小さいですが、ほぼ同じ作用を持ち股関節外転の主力筋として働きます。太ももを内側に回旋する股関節内旋の動きにもわずかに作用します。
小殿筋の働き
1.股関節の外転
2.股関節のわずかな内旋
尻を鍛えるとどうなる
さて、解剖学的な尻の知識を深めたところで、実際に尻を鍛えるとどうなるのか。その効果やメリットについてお教えしましょう。
姿勢がよくなる
良い姿勢には骨盤の傾きが大きく影響するのですが、骨盤の傾きは周辺の筋肉の働きによって左右されます。
出典: 福山市・府中市・駅家町の超職人治療院 | 田澤接骨院
殿筋群は、骨盤後面から大腿骨後面にかけて付いています。ですから殿筋群が収縮する時、骨盤は大腿骨に引き寄せられるよう後ろに傾きます。=骨盤後傾
一方、骨盤前面と大腿部前面を引き寄せるように股関節を屈曲させると、骨盤後面と大腿骨後面は離れるので、殿筋群が引き伸ばされます。=骨盤前傾
骨盤前傾も骨盤後傾も、過度に作用したり慢性化することで全体のバランスを崩し姿勢が悪くなってしまいますので、尻を鍛えて柔軟性のある強い殿筋にすることで姿勢の悪化予防や改善を図ることができるのです。
立つ、歩くが楽になる
殿筋群は股関節の動作時によく働きます。この股関節の動作は、ほとんどの全身運動時に起こり、立つ、歩くなどの基本的日常動作で行われます。
中でも「股関節伸展」は、全身の中で最も大きな力を生み出す動作であるため、立つ時、歩く時の貢献度が高まるほどに、無駄な力を使わず立ったり、歩くことができるようになります。
この「股関節伸展」の主力筋となるのが、大殿筋です。尻を鍛えて大殿筋が強化されることで、股関節の伸展力が高まり、立つ、歩くが楽になるのです。
出典: きこうカイロ施術院 » 股関節の動きと目標可動域
また、殿筋群の機能性アップにより姿勢がよくなることで、体の軸が安定し体重移動がスムーズになります。これも、立つ、歩くが楽になる要因の一つです。
腰痛やケガの予防
腰痛は、姿勢の悪化や腰部への過負荷によって引き起こされます。これらは筋力低下、特に殿筋群を中心とした背面や体幹部の筋力低下によるところが大きいと考えられます。
また日常的なケガの場合も、動作の主力となる殿筋群を中心とした下半身等の筋力低下が原因となる可能性があります。
殿筋群の機能性アップにより姿勢がよくなり、あらゆる動作が楽に行えるようになることで、腰痛やケガのリスクが減るのです。
パフォーマンスの向上
あらゆるスポーツにおいて、筋力アップはパフォーマンス向上の基本です。
特に全身の中で最も大きな力を生む「股関節伸展」の主力筋であり、基本的動作時に多く働く殿筋群は、スポーツの種類に関わらず共通して鍛えるべき筋肉であると言えます。
競技力の高いアスリートほど、お尻がしっかり鍛えられプリっとしているのはそのためです。
基礎代謝が上がる
基礎代謝とは生命を維持するために最低限必要なエネルギーのことであり、基礎代謝量が多ければ、その分多くのエネルギーを生きているだけで消費できるということになります。それが「太りにくく痩せやすい体」です。
この基礎代謝の多くを消費するのが筋肉ですので、筋量が増えると基礎代謝が上がります。
人体の中で最も大きい筋肉である大殿筋が存在する尻を鍛えるということは、同時に全体の筋量を増やすということにつながり、基礎代謝が上がるという結果をもたらすのです。
見た目がよくなる
多くの人にとって尻を鍛えるきっかけとなったであろう見た目の問題。尻が四角く垂れていると、老け感が半端ないですよね。
しかし尻は普段、自分の視界には入らない部分に位置していますので、その老け感に気付かず後回しにしてしまう人が多いのでは。昔はプリっとしていても、加齢に伴い筋力は低下してしまうため、誰でも垂れ尻の危険性があります!
殿筋群を鍛えて丸くプリっと上がった尻を作ることで、若々しい後ろ姿が手に入ります。
副次効果で尿もれ防止
尿もれは加齢に伴う下半身の筋力低下や、出産を経て骨盤底筋群が弱化してしまった、大人女子に多い悩みの一つです。
尻を鍛えることが尿もれ改善に対する直接的なアプローチにはなりませんが、尻を鍛える過程や結果において、もれなく尿もれ防止効果が期待できる可能性はあります。
なぜなら尻を鍛える際、殿筋群だけに負荷をかけるということが意外にも難しいことであるからです。重りを持った際に尻以外の下半身にも負荷がかかったりと、狙った部位以外も筋肉痛になることは筋トレではよくあること。それが良い副次効果となることもあるのです。
また、尻を鍛えて姿勢が良くなったり軸が安定すると、インナーマッスルを普段から自然と使えるようになります。骨盤底筋群はインナーマッスルですので、自然と鍛えられていつの間にか尿もれが改善されるという可能性もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。尻ってすごいですよね!
尻を鍛えることは、こんなにも嬉しい効果を沢山もたらしてくれるのです。大人女子はもちろんですが、人であれば全員が鍛えるべき部位であると思います!
筋トレ始めるなら尻!筋トレで迷ったら尻!そうでなくても尻は鍛えよ!
是非これからは、尻に注目してみてくださいね。
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