「うちの子は、私に似て運動神経がないんです…。」と、決めつけているあなた!諦めるのは早いです。あなたのお子さんの運動能力は、まだまだ高めることができます!なぜなら【運動能力の100%が遺伝によって決定するわけではない】からです。もちろん両親がオリンピック選手であれば、その子供もオリンピックレベルの潜在能力を秘めている可能性はあります。しかし運動が苦手な両親から産まれた子が、必ずしも運動が苦手というわけでもありません。環境次第では、スポーツ選手として活躍できるようになるかもしれません!今回は、近年全国的に教室が急増している【かけっこ】について。かけっこが速くなるポイントや家庭でできる対策法などをご紹介致します!
【かけっこ】とは
「徒競走」とも言いますね。主に運動会や体育祭といった行事において、一定の距離を走る速さを競う競技のことを指します。昔からの定番競技であり、ルールはとてもシンプル。結果もわかりやすいため、かけっこで上位になると周囲からは運動神経が良いと判断されることが多いです。
※かけっこ=運動神経ではないです。
スタートからゴールまでの距離は、園児で20m~30m程度、児童では50m~100m程度で、園や学校によって異なります。スタートの仕方は、ほとんどが立った状態でスタートする「スタンディングスタート」ですが、中には陸上競技の短距離種目のようにしゃがんで両手を着いた状態でスタートする「クラウチングスタート」を用いるところもあります。全体の人数にもよりますが、5人前後が横一列に並び一斉にスタートします。列の組み方や並び順は、出席番号順や速い順、くじ引きなど園や学校によって様々です。
最初に述べたように、かけっこは運動能力の象徴のように扱われることが多いので、かけっこに熱くなる保護者は多く、近年「かけっこ教室」といった速く走ることを目的とした習い事やイベントが全国的に多く開催されています。
速くなるポイント
かけっこが速くなるには、いくつかポイントがあります。そのポイントをおさえて走れるようになれば、絶対に今よりも速くなります!
ポイント① 「足を速く動かす」
足を速く動かせるということは、短い時間でたくさん進めるということになります。例えば、10m進むのに10歩、2歩進むのに0.5秒かかるとすると→10mで2.5秒、50mで12.5秒かかるということになります。それが3歩を0.5秒で進めるようになれば→10mを約1.6秒、50mを約8.3秒で走れるということになります!3秒の差はでかい…。短距離選手として活躍するトップアスリート達にとっても、「足をより速く動かす」ことは永遠のテーマ。速く走るための最大のポイントと言って良いでしょう。
ポイント② 「ももを上げる」
足を速く動かせても、前に進まなければ意味がありません。太ももを上げるということは、その分わずかながらも滞空時間が生まれてより遠くに足を接地することができます。例えば、10m進むのに10歩、2歩進むのに0.5秒かかるとすると→10mで2.5秒、50mで12.5秒かかるということになります。それが10mを9歩で進めるようになれば→10mを約2.2秒、50mを約11.2秒で走れるということになります!1秒で順位は変わりますね・・・。しかし!!歩幅を広くする目的でももを上げると、「足を速く動かす」ことができなくなってしまう人がたくさん出てきます。そこで、「ももを上げる」とセットでポイントとなるのが「足を真下に降ろす」です。
ポイント③ 「足を真下に降ろす」
膝から下の下腿が、膝よりも前に振られた時、地面に対してブレーキをかけるような形で足を接地してしまいます。ももを上げて前に大きく進めても、1歩1歩ブレーキをかけてしまってはせっかくの推進力が台無しです。
ももを上げたら、その足を素早く真下に降ろす。爪先から接地するのではなく、足の裏を地面に叩きつけるように降ろします。そうすることで、体重移動がスムーズになり「足を速く動かす」ことと「ももを上げる」ことを共に達成することができるのです。
ポイント④ 「素早く飛び出す」
スタート時、合図を聞いてから前に1歩進むまでの時間が長いほどロスになります。いかに素早く反応し、瞬時に全身を動かせるか。年齢が低いほど、このスタートダッシュを改善するだけでだいぶタイムが縮まります。
ポイント⑤ 「トップスピードでゴール」
速く走れているのにもったいないなぁと感じるのが、ゴール手前で力を抜いてしまう、もしくはスピードが落ちてしまう子。最後の最後で隣の子に抜かれるパターンです。ゴールラインで走るのをやめるのではなく、ゴールラインまで速いスピードを保つ。ちょっとした意識の差で最後の順位は変わります。
トレーニング方法
足を速く動かす練習「その場ダッシュ」
立ったその場所で、とにかく速く走ります。1分間や30秒間というように時間を設定するのも良いでしょう。20回、40回というように足を入れ替える回数を設定するのも良いでしょう。腕をどうするとか、足をこうするとか、他のことは一切考えず、ただただ足を速く動かすことだけを考えて動かします。そして、その後『今の速いテンポをできるだけ保ったまま、前に走ってみよう』という声掛けで、走りにつなげていくのです。
ももを上げる&足を真下に降ろす練習①「その場でもも上げダッシュ」
まずは、立ったその場でももを高く上げて走ります。これも時間や回数を設定しておこないましょう。次は『ももを上げたら素早く足の裏を地面に叩きつけて』と声を掛けます。すると足を降ろすのが速くなり、ももを上げつつも足を速く動かせるようになっていきます。しかし、この後「その場ダッシュ」のようにすぐに走りにつなげようとすると、ももが上がらなくなってしまう子が出てきます。そこで効果的なのが「スキップ」です。
ももを上げる&足を真下に降ろす練習②「速いスキップ」
まずは、立ったその場で高くスキップします。高くスキップしようとすると、自然とももを高く上げようとするでしょう。そしてそのイメージを保ちながら、その場スキップの延長で前に進んでいきます。大きい動作で高くスキップするよう声をかけます。ももをしっかり上げながら前に進めるようなったら、「今度は上に高くスキップするのではなく、前に大きくスキップしてみよう」と声を掛けます。そして「少しずつスキップを速くしてみよう」と、段階を踏みながらテンポを上げていきます。ここでテンポを上げることに集中し過ぎて、ももが上がらない子が出てくることがありますが、その場合は「前に進む」ことを意識させましょう。
素早く飛び出す練習「大ジャンプ」
スタートダッシュでは、全身の力を爆発的に発揮させる能力が必要となります。まさに、大きくジャンプする時の力と一緒です。ただの仁王立ちから、合図を聞いて上に高くジャンプするのもいいですし、前に大きくジャンプするのも良いでしょう。より「反応力」に着目するならば、他の動作中での合図で「大ジャンプ」も良いです。「その場ダッシュ」中など。他には、しゃがんだ状態から一気にメディシンボールを投げ上げるのも効果的です。「短い時間で大きく強く」が瞬発力のキーワードです。
トップスピードでゴールする練習「プラス5Mの意識」
自転車や車に乗るとわかるのですが、スピードが上がれば上がるほど、完全に止まるまでに時間がかかってしまいます。人間が走るのも同じ。速ければ速いほど瞬時に止まることが難しくなります。小さい子は、「ゴール=おしまい」→「ゴールで止まる」というように考えてしまうことが多く、ゴールよりも手前で力を抜いてしまいがちです。ですから、ゴールよりも少し先まで走る意識を持たせると、力を抜くタイミングを遅らせることができ、スピードを保ったままゴールすることができます。ゴールより5mくらい先に目印を置いておき「あの目印まで走り切ろう」と声をかけるだけでも、タイムを縮めることができるでしょう。
一番大切なこと
かけっこは、元々道具の必要がない種目であるので、特別に何か用意しなくても十分に練習やトレーニングを行えます。ただ大事なことは、個人の年齢や現在の能力に合った取り組み方で、やる気と自信を高められるような声掛けをしてあげることです。「そうじゃない!」「それでは速くならない!」というようなネガティブな声掛けはやめて、「もっとこうしてみよう!」「これで速くなるよ!」というポジティブな声掛けを積極的におこないましょう!今より速くなるチャンスは、誰にでもあります!そのチャンスを掴めるかは、本人が速くなりたいと思うか、そうでないか。子供のやる気と自信を引き出すアプローチで、可能性を広げてあげましょう!
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